DREAMERS AGAIN   PROLOGUE

高松の中学校に通っていた頃・・・

いつもの様にクラスメートと話しながら登校していた時の事だった・・・・

国産車には無い大きな排気音を立てて赤いちょっとレトロなデザインの大型バイクが校門の中に入っていった・・・

後ろのシートからヘルメットを被った見覚えのある奴が舘ひろしにどことなく似た男の手を借りて降りてきた・・・

そいつが誰だかはヘルメットを脱いだ時にやっとわかった・・・ずっと欠席していた同じクラスの杉原真奈美だった。


「パパ、送ってくれてありがとう!」





杉原を降ろすなり彼女の父親は再びヘルメットを被り、サイドスタンドを倒してクラッチを握り数mバイクを押すと・・・

再び独特の爆音が校庭に響きそして走り去っていった・・・



「すげえじゃん!杉原!バイクに乗って登場とは。」

俺がそう言うと杉原は照れくさそうに

「あ、あのう・・・うちのパパが私が久しぶりの登校だというので、みんなから忘れられていないかと心配に思ったんで

こういう形での登校になったんです・・・」


杉原曰く、あのバイクはDUCATI 900MHRという自分が生まれた頃に父親が東京の笹塚の村山モータースで買った

古いイタリア製の外車だという。



それから1週間も経たぬうちに急に親父の転勤が決まり、高松から離れることになってしまい杉原ともお別れとなった・・・



小学校以来、中学を卒業するまで日本全国を転々としていたが、高校に上がる直前に東京住まいとなり、やっと定住生活

が始まった・・・学校帰りに家の近くの横田基地の前を行く国道16号線の第5ゲートの近くの「GAISHO」という

大型バイク店の目の前を通りがかった時・・・『あの時』のバイクが展示してあった・・・即座に店の中に入り見入っていると


「若いのに通好みだね。国産の中型バイクじゃなくてネオヒストリックマシンなんて・・・」


それが、俺とDH・シャープ氏と付き合いの始まるきっかけであった・・・




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