DREAMERS AGAIN SCENE.2
「彼」の自宅を訪ねた後、真奈美はとある喫茶店で休んでいた。
隣の席で「彼」の話を耳にした真奈美はおどおどしながら
「あ、あのう・・・あの人のこと知っているのですか?」
話をしていた少年はちょっととまどいながら得意そうに話し始めた
「へぇ〜っおねえさん知り合いなの?」
真奈美はあわてながら答える
「は、はいっ」
少年は話を続ける
「そりゃもうひでえもんさ。半年も入院してたんだから。奴は2年前に大事故で脊椎を
やっちまったんだよ。その事故、なんでだと思う?」
「中央道で・・・ははっ、どうしたと思う?」
真奈美は驚いた表情で答えた
「あ、あのう中央道って中央自動車道のことですか?」
少年は答えた
「そう!奴もあまり喋りたがらないからよくはわからないけど・・・
飯田インターの手前辺りで240km/hぐらいで走っていたスカイラインGT-Rのオカマ掘った
らしいんだ。誰だって240km/hでぶつけられるとは思わないさ・・・しかもあいつ、
買ったばかりのマシン・・・確かカワサキのZZR1100でやっちまったんだ。」
「もちろんブレーキかけたんだろうけど・・・250km/h以上で走っていたんじゃない。
うまく道路沿いの田んぼに投げ出されて命だけは助かったけれどもグチャグチャだったらしいよ。」
「それがさ・・・どうもどこかに向かう途中だったらしいんだって・・・」
真奈美は不思議そうな顔をして
「ど、どこへですか・・・」
少年は面白半分に続ける
「おっと、2年も前の話だぜ。あいつ学校は退学処分させられるし当時つきあってた彼女には
逃げられるし・・あれってまずかったかなあ
・・・そりゃ誰だって人間が変わったっておかしくないけどさあ」
真奈美は少年に問う
「あ、あの人ってどんな・・・」
少年は面白半分に
「あいつは、女に逢いに行くことしか頭に無いのさ。
女?高松に住む元同級生のことさ。
あのマシンもその為に買ったみたいだぜ
3年前に奴は高松で、その女と出会ったのさ・・・
実はこの事故も3ヶ月の入院で済むはずだったんだ。
でも・・・
奴がリハビリを兼ねて出てきた時・・・
突然、「バイクに乗せろ!」怒鳴り出すんだ・・・俺や他のみんなも止めたけど・・・
何かに取り付かれた様な目をしていたから怖くなって俺のマシンを貸したんだ。
けど・・・2つ先の交差点でやっちまって病院に逆戻りさ・・・
あいつ、何をそこまでこだわるのか・・・・お、おい、どうしたんだよ?」
彼が自分に逢いに行く為に大事故を起こした事を知って、
真奈美は泣き出してしまった。