DREAMERS AGAIN   SCENE.5



 俺は横田基地の近くに住んでいる。ゆえに友人もほとんどがそこの関係者である。


友人シャープの親父は元々軍人であったが、奴の母親(日本人)と結婚したのを機に

軍を辞めて16号沿いで昼間はカフェ、夜はパブとなる店を始めた。

バイク屋は店が軌道に乗ってから自分の道楽で始めたそうだ。

いつも学校が終わるとそこに行く。

今日もいつもの通り奴の家に行った



いつもながら、夕方は基地関係者が多く来ている。
「この前はどうだったんだ?女に逢えたのか?けっ色男さん」

シャープは笑いながら皮肉っぽく冷やかす。

「うるせえな!勝手に想像してろ!あ、ダンとマイケルが来たぜ!

ダンとマイケルは米陸軍の少尉で、よく仕事をサボって店にバイクを見に来る。

(注:主人公はある程度英語を喋れるので英語で会話していますが、表現上日本語とさせていただきます)

「よ!ユーは四国まで女に逢いに行ったんだって?やるじゃん!どんな子か教えろよ!」

ダンとマイケルは笑いながらもキツい突っ込みをする。

何で、こいつらが知ってるんだ?シャープの野郎、ペラペラ話やがったな。

「まあね、君たちのガールフレンドよりは上だぜ」

ジョークを交えて言い返すと二人は大笑い。

4人で騒いでいると店のドアが開く・・・すると

「あ、あのう・・・学校が休校日なので来てしまいました」

なんと、驚いた事に真奈美であった。

「こんな時間だけど大丈夫か?けど、来てくれて嬉しいよ。まあ座って」

「はっ、はいっ!」

真奈美はおどおどしながら自分の隣に座った。

店内は勤務を終えた米軍人達で満席となっていた。


すると、マイケルがカラオケのマイクを持ち、立ち上がる

「本日は、マイフレンドと彼のガールフレンドのミスマナミの前途を祝してのパーティとさせていただきます」

彼の発言で店内が一気に盛り上がる。マイケルはカラオケ無しで歌い始める



「You never close your eyes anymore when I kiss your lips

And there's no tenderness like before in your finger tips

You're trying hard not to show it but baby,baby I know it

You' ve lost that lovein` feeling oh, that lovein` feeling

You' ve lost that lovein` feeling now it's gone,gone,gone,oh,oh」




ちょっと待て、このライチャスブラザーズの歌は女にフラれた事を歌った歌詞じゃないか。

周りの連中は笑ってる。

「おい!マイケル、ブラックジョークかよ?」

マイケルは笑いながら歌うのをやめ、

「ソーリー。じゃ、これならどうだい。このお嬢さんのイメージにぴったりの曲だぜ」

通信カラオケをおもむろにセットし、聞き覚えのある曲が流れてくる

「あ、あのう・・この曲知ってます。カーペンターズの「Close to you」ですよね?」

しばらく黙っていた真奈美が嬉しそうな顔をして喋り始めた。するとダンがマイクを差し出す

「お嬢さん、プリーズ?」

真奈美は戸惑いながらも歌いだす


「Why do birds, suddenly appear?

Everytime you are near,

Just like me, they long to be close to you・・・・・」




気が付くと店内の全員が合唱していた。



「わ、私の一番好きな歌でこんなに盛り上げてくれてうれしい・・・・」

真奈美は嬉しさのあまり泣き出してしまった。




気が付くと8時近くになっていた。


「立川から中央特快に乗れば、今からでも東京発の銀河に間に合う。送ってくよ」

ブラックバードのタンデムシートに真奈美を乗せ、走り出す。


基地の滑走路の誘導灯が綺麗だ。あたかも映画「トップ・ガン」の1シーンの様だ。

ということは・・・俺がトム・クルーズで、真奈美がケリー・マクギラスか・・・

ふと、頭の中でベルリンの「Take my Breath Away」(トップガン挿入歌)が流れる・・

立川駅北口で真奈美を降ろし、改札まで送っていく。時間は余裕がある。

「今日はとても楽しかったです。またあの人たちと一緒に遊びたいです。」

真奈美は笑顔で改札をくぐっていった・・・・。







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