DREAMERS AGAIN   SCENE.8



 
「ここは・・・」


気が付くとベットに寝ていた。あれから何時間経ったのだろうか・・・真奈美のことが気になる。


「気が付いた様だな。遠路はるばるご苦労さん。この前と違うバイクじゃないの・・・」

真奈美の父親が目の前にいた。ここは杉原家だ。

「真奈美はどうしました?」

俺が慌てたのを見てニヤりとしながら

「手術は成功した。君のお陰だ、感謝する。もう起きれるだろ?いい物を見せてやる」




一緒にガレージに行くと、鮮やかな黄色のカラーリングで、”Ruf CTR”というエンブレムが付いた

993型(空冷エンジン最終型)ポルシェ911カレラの横に見覚えのある真っ赤なバイクがあった・・・

真奈美が登校する様になった初日に見たドカティ900マイクヘイルウッド・レプリカミッレじゃないか!!

杉原さん(真奈美の父親)はガレージからドカを出し、軽く10m程押しがけをやってエンジンを始動させ、

タンデムシートのシートカウルを外して

「乗ってけ!」

と指図してきたのでヘルメットを被って乗り込む。




琴平方面に向かっていくが、片側2車線のバイパスをメチャクチャ飛ばすのでちとビビッてしまった・・・



そうこうしているうちに、国分寺町の国道11号沿いの裏が解体屋という不思議な

ロケーションの喫茶店の前に着く。店に入るとモヒカン頭のマスターがいた。

「よお、泰三!H2のレストア終わったか?それと、彼にあれを見せてやってくれ」

真奈美の父親とマスターに連れられて店の裏のガレージに行くと・・・

「うわっ!すげえ!750マッハじゃん!しかもフルチューン!それにCB1100Rも!」

古びてはいるが何かオーラを感じるマシン達があった。


壁に掛けてある古ぼけた写真に目がいった

「ヨンフォアに跨った真奈美そっくりの女の子は誰ですか?」

マスターは語りだした・・・

「あれは、俺達のマドンナだった。けどあいつと一緒になった・・・。


それよりも面白い物を見せてやろう。」


マスターがガレージの奥のシャッターを開けると・・・ボロボロのイレブンカタナが出てきた

「真奈美から聞いてると思うが、これがキリンの愛車だった。」

俺は、真奈美から聞いてからその人に興味があったのマスターに問うが

「キリンか?あいつは今何やってるかわからねえ。東京にいるらしいぞ・・・。」



先程からマスターが着ていたジャケットのエンブレムが気になる

「バーンストームトゥルップス・・・家畜小屋・・・疾風・・・特攻隊・・・一体何ですか?」


真奈美の父親が答える


「アメリカあたりでよくやってる飛行機で戸を全開にした納屋を潜り抜けるアクロバット飛行のことさ。」

俺はすかさず質問をした

「杉原さんも自分くらいの頃、乗っていたのですか?あの750マッハに。」

彼は笑いながら

「じゃあ、君がブラックバードやカタナに乗る意味は・・・?君なら解るはずだぞ。」

「今回のお礼だ。このジャケットを君にやる。今日からバーンストームのメンバーだ。」



不思議な人物である。県会議員を歴任する人物とは思えない男であった・・・・・


真奈美の父親から譲り受けたジャケットを着て帰路に着いた・・・・。

See You Again    Next Drama